平成12年度 プロジェクト報告

総合的な学習の時間(U)
−中学校・高等学校の総合的な学習の時間を組み立てるために−
 中学校・高等学校における総合的な学習の時間の組み立てを支援するために、学校独自のカリキュラムをつくり上げる方途を探った。
1 日本教育史から見た「総合化」の歴史的展開
 知識の詰め込み教育を批判し自主自律の学習を目指す教育論は、明治の末ころから強力に展開されてきた。この間、崇高な教育理念に裏打ちされた多くの学びの転換が主張、実践されてきた。
2 「総合的な学習の時間」成立の背景
 教科主義の視点から、学びの場と機会の変化の視点から、総合的な学習の時間で期待される生徒像について、この時間の成立の背景を考察した。
3 「総合的な学習の時間」の実施上の諸課題
 学力観・指導観の転換と意識改革、総合的な学習の時間で身に付けさせたい力の構想、その力を生徒にどう付けるか、育てるべき実践力について、実施上の諸課題を考察した。
4 中学校・高等学校における総合的な学習の時間のカリキュラムの特徴、カリキュラムのタイプ等について考察した。
5 総合的な学習の時間の時間割編成
 授業時数の基本的な考え方、時間割作成の基本的な考え方等について考察するとともに、中学校における時間割の具体例を示した。
6 指定研究員によるカリキュラム作成
 安堵町立安堵中学校、五條市立五條東中学校、県立香芝高等学校、県立五條高等学校からの奈良県教育委員会指定研究員によって、それぞれの学校の特色を生かした総合的な学習の時間のカリキュラムを作成した。
−子どもの社会性をはぐくむ家庭教育−
 はじめに
 社会性は社会に適応し、円滑な人間関係をつくる上で大切である。家庭教育において、子どもの社会性をはぐくんでいくことの必要性とその方途について研究した。
 研究内容
(1) 社会性について
 社会性とは「その社会が支持する生活習慣、価値規範、行動基準などにそった行動がとれるという全般的な社会的適応性」ととらえることにする。
(2) 社会性を育てる生活習慣の育成
食事・排泄・睡眠などの基本的な生活習慣は子どもが他人とかかわっていくための土台であり、社会性の基本となる。
 実態調査結果からは倫理観や道徳観にかかわるものはさせていると強く意識しているが、生活習慣についてはやや弱いようである。
(3) 子どもの遊びと社会性の発達
 現代の子どもの遊びの形態については、テレビゲーム等に偏りがちで室内遊びが多い。
 社会性を伸ばす遊びについて
 集団的遊びとイメージ力を育てる「ごっこ遊び」を組み合わせることが大切ではないか。
(4)  子どもの社会性をはぐくむためには、家庭、地域、学校が日常的にかかわりのある連携をしていく必要性がある。
 子どもの社会性の育成に関する家庭教育の課題及び支援
 おわりに
 保護者が子どもと積極的にふれあい、地域とかかわっていく姿勢は、子どもの社会性を豊かにはぐくむ上で、大きな影響を与えると考える。
−情報ネットワークを活用した新しい学校教育−
 学習指導要領の改訂により、小・中・高等学校段階を通じてコンピュータ等の積極的な活用が明確に位置付けられた。学校における情報通信ネットワークの整備についても、平成13年度までにすべての学校をインターネットに接続することとし、教育におけるインターネットの活用法や様々な課題等に関する実践的な研究が積極的に推し進められている。今後、コンピュータの整備については学校規模等を考慮に入れ、普通教室、学校図書館等にも配置し、校務の情報化も視野に入れ、保健室、進路指導室、職員室等を含め、学校内におけるコンピュータのネットワーク化が一層進むことが予想される。
 そこで、情報ネットワークの重要性を確認し、学校や教育研究所におけるインターネットを中心としたネットワークの有効性を探るとともに、学習活動における効果的な活用の在り方やその際配慮すべき事項等について研究した。
 平成12年6月、所内のコンピュータの更新によって新しく導入したシステムを使い、コンピュータネットワークを有効に利用する方法を探った。同時に、情報公開用サーバを所内で運営できるよう整備したことを機に、リニューアルしたWebページ(ホームページ)上で、学校教育における情報ネットワーク活用の可能性を探るため、「情報ネットワークシステムの共同研究」を指定研究員の協力を得て行った。たとえば、新しいシステムを授業の中で使用し、教材の共有化や情報の交換、交流学習、ネットワークを活用したアンケート処理など実験的な取組を行い、学校教育におけるネットワークの有効活用の可能性を探ると同時に問題点の整理に努めた。
 今後、学校のコンピュータやインターネットへの接続回線等の整備も視野に入れ、継続的に内容の充実を図り、教材等の教育情報をWebページ上に公開するとともに、より使いやすい情報ネットワークの在り方について考えていきたい。
−心の教育の在り方−
 はじめに
 現在、ゆとりの中で子どもたちに「生きる力」をはぐくむ教育が進められている。中教審は、平成10年6月の答申の中で、子どもたちの心の健全な成長について提言している。この答申が挙げている「生きる力」の核となる豊かな人間性(6項目)の育成を目指し、「心の教育」の推進を図っていきたい。
 研究内容
(1) 「心の教育」推進上の現状と課題
 身の回りの体験をふまえ、各教科等での学習活動との関連を図りながら、子ども自らが考える道徳教育などを実践していくことが大切であると考える。
 県内の公立学校・園における体験活動を取り入れた「心の教育」の取組についての実態調査を行い、大きな成果が得られている一方、校内体制づくりや計画的・継続的な実施に向けた課題もあることが明らかになった。
(2) 「心の教育」推進の在り方
 明らかになった成果や課題に基づき、「心の教育」推進の在り方について、次のような視点から「Q&A」形式でまとめた
@ 「心の教育」推進に関する大切にすべき側面や必要とされる背景等について
A 指導体制づくりに向けた学校教育目標や組織づくり等の観点について
B 保育や学習指導上の工夫について
C 教育相談活動について
D 家庭・地域との連携について
 まとめ
 子どもたちのよりよい成長のために、学校全体として何をすべきか、また教職員一人一人はどうあるべきかなどについて見直すとともに、学校・家庭・地域がより一層の連携を深めていかなければならない。

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