平成18年度

研 究 紀 要
奈良県立教育研究所指導主事

研 究 集 録
奈良県立教育研究所長期研修員
奈良県立教育研究所指定研究員

第14号


はじめに



研 究 紀 要

研究の概要
1 これからの学校評価の在り方

指導主事 元 根 俊 孝
 激しい社会変化の中、学校教育に対する関心は高く、保護者や地域住民が積極的にかかわろうとする機運も高まってきている。そうした学校を取り巻く環境変化と多様なニーズに応えるため、各校は、教育の「不易」と「流行」なる部分を明確にし、自校のなすべき教育の明確化に腐心している。これからは、広汎な教育関係者を含め、当たり前に行ってきた凡事を徹底し、教育の質を意識した学校評価が不可欠である。
2 学校事務職員の資質向上 −実践発表を通して− 

主  査 西 田 邦 子
 「学校事務職員10年経験者研修」講座において学校事務職員の実践発表を取り入れ、学校全体を見渡せる視野をもち、他の教職員とのコミュニケーションを図り、学校運営に参画していく力を身に付けるための研修プログラムの工夫・改善を行った。
3 魅力と活力のある学校づくり
-学校評価を組み込んだ学校要覧、学校経営計画の作成に向けて-
学校経営係長 梶 本   修
 各学校においては、従来からの学校要覧や学校経営計画の見直しを図り、学校評価システムを組み込んだ利用価値の高いものに変えていく取組が必要である。常日ごろから、学校評価システムを組み込んだ学校要覧や学校経営計画を活用して、全教職員がそれぞれの教育実践を振り返り、点検・評価することで、継続的・組織的な学校改善が可能となろう。また、学校の教育活動を、積極的に保護者や地域住民等へ情報提供する手段としても大いに活用したい。
4 教育活動におけるコーチングの活用

指導主事 春 名 久 雄
 ビジネススタッフのやる気や意欲を喚起することに有効であるとされるコーチングの手法に「教師力」を補強する重要な要素があるととらえ、教育活動におけるコーチングの役割とその活用の方途を探った。
5 道徳教育及び道徳の時間の充実に向けて

教科指導副部長 島   恒 生
 道徳教育や道徳の時間の充実が求められている。そこで、学校として組織的に取り組むための全体計画の大切さや、道徳の時間を充実するためのねらいの設定や資料の活用のポイントについて考察した。
6 体育学習を通してはぐくむ確かな学力

マルチメディア支援係長
        西 川   潔
 確かな学力をはぐくむための学習指導が重視されている中、体育科において大切にすべき学力について分析し、それをはぐくむための学習や指導の在り方について考察した。
7 幼児期から児童期への教育

幼児教育係長 梅 田 真寿美
 幼児期と児童期の教育の間には、教育方法等の違いがあるものの、発達と学びの連続性は存在しているはずである。しかし、様々な環境の変化に伴い、子どもがその違いを乗り越えられなくなってきている。ここでは、幼児期と児童期に行われる教育について考察し、連携の在り方を探った。
9 学校におけるユニバーサルデザインの在り方
−みんなが使いやすく、安全で安心な学校への提案―
指導主事 島 崎   裕
 不特定多数の人たちが利用する建物等にユニバーサルデザイン(以下、UD)の考え方が浸透しつつある。学校も、子どもの学習の場であるとともに公共施設である。子どもだけでなく地域住民や保護者が安心して利用できる、安全で使いやすい教育環境は大変重要である。そこで、学校におけるUDのガイドラインを研究した。
10 図画工作科における関心・意欲を高める指導の在り方

指導主事 吉 村   茂
 小学校図画工作科の内容は「表現」と「鑑賞」から成り立っている。これら二つの学習を支える土台となっているのが、造形への関心や意欲である。しかし、学校では見栄えのよい作品づくりのための技術指導にばかり目が向けられて、本来大切にされるべき子どもが関心や意欲をもって発想を広げ主体的に取り組む創造活動が十分なされていない現状がある。そこで、「表現」や「鑑賞」の活動の中で、関心・意欲を高める工夫について様々な視点から研究し、 学ぶ意欲を高める指導の在り方を探る。
11 小学校における英語活動の在り方
−小学校「早期英語教育」推進事業を通して−

指導主事 野 瀬 範 裕
 小学校段階における英語活動の目標は、児童の発達段階に応じたコミュニケーションスキルの取得、及び積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成である。高度に情報化され、国際化した社会の中で、人との交わりに必要な共生のための基本的態度や国際感覚のあるコミュニケーション能力をもった子どもを育てることが重要であると考え、小学校における英語教育の在り方について考察した。
12 教育における情報発信


 IT支援係長 中 谷 親 央
   指導主事 宮 崎 博 文
   指導主事 薮 田 真 孝
   指導主事 廣 田 清 雄
 インターネットを利用した情報発信では、Webページの作成や更新を効率よく行える技術が必要とされている。また、双方向のコミュニケーションツールとして利用できれば、活発な情報発信や知識の蓄積もできる。そこで、ツールとして注目を集めているブログを中心に数本のプログラムを試用して、適切な情報発信サイトの構築と活用の方途を探った。
13 メタ認知の視点から見たキャリア教育

指導主事 奥 田 俊 詞
 社会の多様化や複雑化が進むと、就職後においてもキャリア形成は重要になってくる。キャリア形成のために必要な能力の基礎をなすものとしてメタ認知能力が考えられる。本稿では、メタ認知能力とキャリア教育との関係を明らかにし、メタ認知能力を育成するためのキャリア教育の進め方について考察した。
14 豊かな人間性を培う家庭教育の在り方
−家庭教育の方法とその内容についての一考察−

指導主事 高 崎 隆 一
 本研究は、法律学及び脳科学の視点から「豊かな人間性とは何か」、また「豊かな人間性を培う家庭教育の在り方」について考察するとともに、その成果を生かした具体的な家庭教育の展開例を開発するものである。


研 究 集 録
T 奈良県立教育研究所長期研修員の部

研究の概要
1 生徒の興味・関心を高める理科教材

長期研修員 上 田 理恵子
 中学校理科において科学的な見方や考え方を深めるために、生徒の興味・関心を高める理科教材の開発を行った。ケラーが提唱するARCSモデルに照らし合わせて理科教材を整理し、開発した教材を用いた研究授業を行った。開発教材が血液や心臓に対する生徒の興味・関心を高め、その後の学習活動を意欲的にしたことや、意欲的な学習活動 が科学的な見方や考え方を深め、新たな興味・関心に結び付いたことが確認できた。
2 生徒の創造的思考力をより高める教材について
-2×4材や郷土素材を活用した教材の開発とその情報発信の研究-

長期研修員 米 田   群
 中学校技術・家庭科(技術分野)の「A技術とものづくり」の内容では、様々なキット教材を活用した学習活動が展開されている。本研究では、中学校学習指導要領の技術・家庭科の目標にある「進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる」という観点から、創造的思考力をより高めるための教材と指導法について探究した。その結果、表計算ソフトを使った製図法を考案し、2×4材や郷土素材を活用した教材の開発を行った。更に、広く教育現場で活用できるように、開発した教材のWebページによる情報発信を行った。
3 体育科におけるコミュニケーション能力の育成
-「体ほぐしの運動」を通してLD・ADHD等のある児童も共に学ぶ-
長期研修員 高 岡 訓 子
 児童のコミュニケーション能力不足が問題にされる今、その育成を促す体育の授業について考えてみた。特に、心と体を一体としてとらえた「体ほぐしの運動」を通して、LD・ADHD等のある児童も他の児童と共に学び合うことで、コミュニケーション能力の育成を図ることができる体育の授業の在り方を研究した。
4 不登校を未然に防ぐためのサポート体制づくり
−小・中学校間の連携と不登校の現状・事例分析から−

長期研修員 田 町 勝 美
 「中1ギャップ」という言葉に象徴されるように、全国的に中学校1年生で不登校が急増しており、中学3年間をみても不登校は増加傾向にある。また、不登校の要因・背景も年々複雑化・多様化してきており、学級担任に任せきりの対応では、この「中1ギャップ」の問題を解決することは困難である。したがって、中学校が小学校や関係機関 との連携を一層深めながら、生徒に関する情報の共有化を図り、不登校を未然に防ぐためのサポート体制の構築を目指したいと考えた。
5 「読書スピーチ」の有効性と指導の工夫
−国語力と豊かな人間性の育成−

長期研修員 古 田 生美子
 高等学校国語科で、読書活動に「話す・聞く」・「書く」などの言語活動を取り入れた学習を実践し、「話す・聞く」・「書く」・「読む」の各言語能力の育成を目指す指導法と評価の研究をした。
 特に、「読書スピーチ」として、「話し手が選んだ本の内容と感想を述べ、聞き手がスピーチの感想を書く学習活動」を提案した。これは、生徒の知的好奇心を喚起し、主体的学習の体験により、国語力や豊かな人間性の育成を目指すものである。
6 教育相談の考え方を生かした生徒支援の在り方

長期研修員 山 元 俊 一
 教育相談の考え方を生かし、子どもの心に寄り添うようにすれば効果的な生徒支援ができるのではないかと考え、先行文献と来所する小・中学生のカウンセリング、遊戯療法の実践を通して、生徒支援の在り方を研究した。
7 体験学習を取り入れた人権教育の在り方

長期研修員 横 山 惠 造
 私たち教員は、子どもを取り巻く環境が大きく変化する中で、身の回りの差別や矛盾を解決しようとする意欲や実践力、人権感覚を子どもたちに培わなければならない。そこで、人権意識の基盤となる自尊感情を高め、コミュニケーション能力やアサーティブネスなどのスキルを育てるため、体験学習を中心にした人権学習の在り方を考察し、特に福祉体験を中心にした指導計画を作成した。


研 究 集 録
U 奈良県教育委員会指定研究員の部
A.プロジェクト研究

研究の概要
1 特別支援教育の在り方

奈良市立都跡小学校 教諭 小 西 智 子
天理市立福住小学校 教諭 縺@田 玲 子
大淀町立大淀希望ヶ丘小学校 教諭 岡 村 裕 美
 
2 開発的な教育相談の在り方
−児童生徒の発達段階に応じた効果的な指導法の研究−
奈良市立東市小学校 教諭 十 亀 宏 太
河合町立河合第一中学校 教諭 平 岡 彰 代
奈良県立奈良高等学校 教諭 辻 本 美奈子
 
3 小学校低学年における基礎・基本の確実な定着を図る指導
(小学校低学年:国語、算数)
葛城市立新庄小学校 教諭 今 池 世起子
香芝市立旭ケ丘小学校 教諭 夛 田 智 代
天理市立井戸堂小学校 教諭 荒 木 由記子
御所市立葛小学校 教諭 井 上 正 子
 
4 学ぶことへの関心・意欲を高める指導
(小学校:社会、理科、体育、音楽、図画工作、家庭、生活)
広陵町立広陵西小学校 教諭 兒 島   強
天理市立山の辺小学校 教諭 種 池 進太郎
広陵町立真美ヶ丘第一小学校 教諭 中 尾 勝 則
宇陀市立榛原東小学校 教諭 渕 矢 裕 子
奈良市立右京小学校 教諭 奥 村 文 浩
天理市立前栽小学校 教諭 高 山 玲 子
葛城市立忍海小学校 教諭 上 田 恵 子
 


研 究 集 録
U 奈良県教育委員会指定研究員の部
B.個人研究

研究の概要
1 魅力と活力のある学校経営
特別支援教育における高等養護学校の在り方についての実践研究
奈良県立高等養護学校
     教諭 藤 田 弘 史
 特別支援教育の充実に向け、個別の教育支援計画の教育的ニーズを把握し、総合的な学習の時間を活用したカリキュラムデザインを提案した。また、学校評価を組み込んだ本校の学校経営計画の作成を試みた。魅力と活力のある学校づくりの推進には、総合的な学習の時間をはじめとするすべての教育活動の中に、マネジメントサイクルを生かし た学校評価システムを機能させることの重要性がわかった。
2 新しい学校事務の在り方を探る
−実践発表をを通して−
広陵町立広陵中学校
     主査 山 田 かおり
 学校事務職員としての職務を見つめ直すために、標準的職務内容一覧表の「企画・運営に関すること」の中から、学校運営への参画、推進への果たす役割について考察するとともに、子どもたちの学校生活を支援するための学校徴収金事務の効率化に向けて取り組んだ。
3 遊びを通して学び続ける力を育てる保育の研究

香芝市立旭ヶ丘幼稚園
     教諭 畠 中 茂 美
 まず、幼児にとっての遊びや遊びと学びの関連性、学び続ける力について考察する。さらに、事例を通して、遊びの中に見られる幼児の学びの姿やその際に必要となる環境の構成や教師の援助について考察するとともに学び続けるために必要となる力について探っていく。
4 魅力的な道徳の授業を進める指導の工夫
−板書の工夫を中心に−
大淀町立大淀桜ヶ丘小学校
     教諭 福 本 ゆ み
 板書は、子どもにとって共有の思考の場である。これをより効果的に活用することで、学習は深まる。そこで、道徳の時間における板書の工夫を通して、子どもの思考を助け、道徳的価値の自覚を深めることができる学習の在り方や進め方について、板書構成を考えるための六つのポイントを整理し、授業研究を基に検証した。
5 主体的・実践的な力を育てる特別活動の指導の工夫
―子ども一人一人が活躍できる係活動の指導の工夫―
上牧町立上牧小学校
     教諭 高 橋 麻衣子
 学級活動における学級や学校の生活の充実と向上を図るため、子どもたちの自発的・自治的な活動を目指して係活動の活性化に取り組んだ。キャリア教育の視点で係活動を見直すことで、子どもたちへの適切な指導の工夫や評価の在り方を探った。
6 「多文化共生」社会を考える
−「世界史A」の授業を通じての人権学習について−
奈良県立高円高等学校
     教諭 吉 村 典 久
 世界史の学習は、その内容自体がまさに「異文化理解」である。しかし、日本社会は「異文化理解」だけでは不十分な状況に今日置かれている。外国人登録者数が200万人を突破し、「多文化共生」社会が現実味を帯びてきた。生徒たちがこのことを実感し、自己の生き方に結び付けていくことができる学習活動について研究した。
7 豊かな人間性を培う家庭教育の支援
−生活科「めざせ!おしごとめいじん」の取組を通して−
生駒市立生駒南小学校
     教諭 福 本 亜矢子
 1年生は保護者も子どもも学校という新しい環境の中で、学校生活への期待と不安を胸に緊張した日々を送っている。子どもの生活環境が大きく変化するからこそ、学校と家庭との連携が必要であると考える。そこで、生活科の学習活動を通して、子どもたちの自立する力を学校と家庭とが連携して育てていく取組について研究した。
8 学校教育におけるコンピュータの活用
−情報科を通して、受け手を意識し、発信する力を高める−
生駒市立鹿ノ台小学校
     教諭 薮 田 達 哉
 「情報科」(情報教育推進特区認定)を通して本校児童の「情報活用能力」を高めるために、年間指導計画や評価規準の作成を平成17年度に行った。それを基に指導方法の工夫・改善に努めた。
 また、情報科の指導を進めるに当たって、授業に必要な機器や備品を整えた。児童や保護者に情報科の取組を正しく伝えるため、本校Webサイトを刷新し学校からの便りを発行した。教室や校内の掲示も工夫し、情報科の内容が分かるような環境の整備に努めた。