平成20年度

研 究 紀 要
奈良県立教育研究所研究指導主事

研 究 集 録
奈良県立教育研究所長期研修員
奈良県教育委員会指定研究員

第16号


はじめに



研 究 紀 要

研究の概要
1 小学校体育科における意欲を高める指導の工夫
教職研修係長 清 水 俊 也
 近年、子どもたちの体力低下が話題になり、活発に運動する子どもたちとそうでない子どもたちに二極化していると言われている。特に、活発に運動していない子どもたちは、運動に対する苦手意識をもち、意欲的に運動に取り組むことができない。そういった子どもたち一人一人の学習意欲を高める体育科の授業における指導の工夫について考察する。
2 伝統文化の取組から広がる教育活動
  −総合芸術がもたらす人間づくり−
研究指導主事 秦   良 房
 明治の開国以来、西洋のアカデミックな芸術(表現・鑑賞・技法)が本格的に日本に上陸し、古来、大陸から伝承し変容しながら日本固有のものとなった文化と複雑に混在することとなった。我々の先人たちが残した伝統文化のすばらしい表現・技法を理解できる子どもたちを生み出すことの責務は大変重い。新学習指導要領(教育内容の主な改善事項A)も、伝統や文化に関する教育の充実をうたっている。また、正々堂々と生きる子どもを目指し、相互扶助の精神や自己研鑽に努める姿勢を「人形浄瑠璃」の創作・公演を通して育てるために、探究科をもつ高等学校の事例を基に研究する。
3 指導が不適切である教諭等に関する考察
  −課題を抱える教員の資質と実態を考察する−
研究指導主事 寺 嶋   敏
 複雑で多様化する現在の社会において、未来の日本、世界をより良い社会へと導いていく若者たちを教育していく重要さが、今まさに問われている。その教育の担い手の学校現場で、苦悩する教員が増え続けている。こうした教員の中には、いわゆる「指導が不適切である教諭等」として認定され、一定の研修を受けている者が近年、クローズアップされてきた。本研究では、その原因をふまえ資質、実態を考察する。
4 生徒の興味・関心を高める音楽科の指導

研究指導主事 金 子 博 和
 音楽科の教育は、西洋音楽中心の教育から、我が国の音楽をはじめとした様々な地域の幅広い音楽を学び親しむ教育へと大きく変わってきた。しかし、読譜指導法は西洋音楽中心の手法が多く、読譜が苦手な子どもたちにとっては日ごろの授業の中で音楽活動を楽しむことは難しい。本稿では、子どもたちが楽しい音楽活動を展開できるように、記譜法や表現領域の指導法の在り方について考察した。
5 「活用」に関する力をはぐくむ数学科指導の在り方

研究指導主事 吉 岡   淳
 本年度も全国学力・学習状況調査が実施された「算数・数学B」の問題は、知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力を測る「活用」に関する出題である。「活用」に関する力をはぐくむことは、今まで学んだ知識や情報を的確に処理することにより、知識や技能の価値を高め、学びのモチベーションを高めることになる。中学校における学習展開例を基に、「活用」に関する力をはぐくむ数学科指導の在り方について考察した。
6 学習意欲を高める国語科指導の在り方
  −「見通し」を立てることの視点から−
研究指導主事 松 本 吉 央
 現在の教育的課題の一つは、子どもたちの学習意欲が低下していることである。従来から意欲を高めるために、内発的動機付けが重視されてきた。しかし、学習の興味・関心を高めるだけにとどまり、自ら学ぼうとする意欲まで高めきれていないという現状がある。学習指導要領改訂の趣旨を踏まえ、「見通し」を立てるという視点から学習意欲を高める国語科指導の在り方を考察した。
7 「実感を伴った理解」を図る理科学習
  −第4学年「人の体のつくりと運動」の学習展開−
研究指導主事 松 本 哲 志
 新しい小学校学習指導要領の理科の目標に「実感を伴った」という言葉が加えられた。現行の小学校学習指導要領でも、児童が自然の事物・現象を観察したり実験したりすることを通して実感することの大切さは示されているが、目標に加えられた意味は大きい。本研究では「実感を伴った理解」について考察を行い、そのことを踏まえ、第4学年「人の体のつくりと運動」の単元でどのような学習展開ができるのかを考える。
8 身近なものを活用した理科の観察・実験の工夫
  −吸水性高分子を使った教材の在り方−
研究指導主事 植 村 泰 行
 平成20年に、小・中学校の新学習指導要領が公表され、理科としては、日常生活や社会との関連を十分に図った上で学習を進め、自然環境と人間とのかかわりを一層重視することが求められている。本研究では、理科の原点を見つめ直すとともに身近なものに着目し、環境にやさしい教材の在り方について提言する。
9  地域教材を活用した歴史学習の在り方

 研究指導主事 廣 岡 敏 美 
 新学習指導要領に示されている「基礎的・基本的な知識・技能の習得と活用」「伝統や文化に関する教育」「言語活動」等の社会科や地理歴史科の内容改訂のポイントを踏まえた学習を展開するために、地域教材をどのように活用するかについて考察した。
10 子ども虐待の未然防止にむけた家庭教育の推進
  −家庭教育の視点から見た虐待防止への取組−
家庭教育係長 山 本 肇 一
 近年、都市化・核家族化などに伴う地域社会や家庭の教育力の低下などを背景に、子ども虐待(児童虐待)が増加している。本県においては、子ども虐待の相談件数が年々増加するとともに、深刻な虐待事案も発生している。そこで、子ども虐待の深刻化の社会的背景を考え、実態を明らかにするとともに、未然防止に向けてどのように親を支援していけばよいかを考察し、これからの家庭教育の在り方を探った。
11 幼児教育と小学校教育の円滑な接続の在り方
幼児教育係長  植  松  利  晴
研究指導主事  廣  岡  由  美
主      査  中  村  美 喜 江
 平成20年3月に新幼稚園教育要領が公示された。その改訂に伴い、発達や学びの連続性を踏まえた幼稚園教育の充実を図り、幼児教育と小学校教育の円滑な接続に向けた取組の推進が求められている。本研究では、幼稚園・保育所と小学校連携促進事業を通して見えてきた本県の現状を踏まえながら、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を図るための幼稚園・保育所と小学校の連携の在り方について研究を行った。
12 食育を通した家庭教育の在り方について

 研究指導主事 前 田  景 子
 近年の子どもたちの食生活の乱れは、国民健康・栄養調査の結果を見ても深刻である。高齢社会を生きる子どもたちが生涯にわたって望ましい食習慣を身に付けることは、学校教育の大きな課題ともなっている。一方で、食育は本来家庭が基本となって行われるものであり、食育の推進のためには家庭教育の充実が大切である。本研究では、食育を通した家庭教育の在り方を探った。
13 豊かな人間性を培う家庭教育の推進
  −家族の絆を深める親子のコミュニケーションの在り方−
  研究指導主事  常  盤  陽 子
 社会が多様化し便利になっていく反面、子どもも親も毎日忙しく、家庭の中でゆったりと過ごすゆとりすらなくなってきている。親と子どものコミュニケーションも希薄になり、家庭の中で安心感が得られない子どもが増えてきている。このような状況を踏まえ、家庭の中でどのようにして家族の絆を深めていくか、具体例を通して考察し、学校と家庭の連携の在り方を探った。
14 学校改善を推進するための学校評価の進め方について
  −学校アドバイザリーチームの学校訪問を通して−
  学校アドバイザリーチーム
 学校アドバイザリーチームの学校訪問を通して、各学校において学校評価の取組に腐心する教職員の姿に出会う。少なからずそこには、学校評価は必要であると分かっていても、その趣旨や目的通りに推進しきれない状況がある。その要因はどこにあるのか、そして、学校改善を推進するための学校評価はどのように進めるべきかを学校アドバイザリーの取組を通して考察した。


研 究 集 録
T 奈良県立教育研究所長期研修員の部

研究の概要
1 学校評価を核にした学校経営

長期研修員 浦 ア 信 高
 学校評価の実施と活用について置籍校での実践を基に考察し、その定着に向けての課題を明らかにした。学校評価を核にした学校経営の方向性は、内に向かっての「ミドル・アップダウン型組織への移行と、学校評価を生かしたマネジメントサイクルの徹底」、外に向かっての、「Web ページ等を活用した学校情報の積極的な発信と、家庭・地域との能動的な交流による開かれた学校の実現」に尽きると考えられる。
2 郷土奈良を愛する心を育てる日本史学習
  ―地図や史料を関連付けて考察させる―

長期研修員 榊 原 賢 治
 奈良県は、世界遺産をはじめ多くの文化財を有し、日本史を学習するには大変恵まれた環境にある。 しかし、博物館などの施設や地域の文化財にふれたことがない生徒も多い。主題学習や臨地学習で資料にふれ、学んだことを多面的・多角的に考察させることにより歴史的思考力を培い、我が国と郷土の伝統や文化に誇りをもつ生徒を育成することができると考える。その指導方法及び内容について研究した。
3 小中一貫教育で子どもの生きる力をはぐくむ学校経営


長期研修員 福 井 敏 夫
 置籍校のある上北山村にとって、少子化への取組は急務であり、村の教育委員会や学校は、小中学校が協働体制で教育に当たる必要があるという認識に立ち、小中一貫教育の研究を始めようとしている。 本研究では、へき地小規模校が抱える課題と向き合い小中一貫教育を通した学校経営にどう取り組むか、有効な教育活動や組織・運営の在り方について基本構想を立て考察を行った。


研 究 集 録
U 奈良県教育委員会指定研究員の部
A.プロジェクト研究

研究の概要
1 小学校における英語活動の指導の在り方
  −高学年におけるプロジェクト型英語活動について−

斑鳩町立斑鳩西小学校 教諭 岸   直 美
広陵町立真美ヶ丘第一小学校 教諭 若 狭   保

研究指導主事 乾   修 司
研究指導主事 松 本 吉 央
 
2 中学校における学ぶことへの関心・意欲を高める指導 総論
国語 数学 英語 技術・家庭【技術】
大淀町立大淀中学校 教諭 川  西  聡 弘
田原本町立田原本中学校 教諭 吉  村  典 子
香芝市立香芝北中学校 教諭 中  川  佳世子
御所市立大正中学校 教諭 増  本  雅 紀

研究指導主事 小  ア  誠 二
研究指導主事 吉  岡     淳
研究指導主事 中  永  利 法
研究指導主事 宮  崎  博 文
 
3 ネットワークを活用した授業の在り方
<平成19年度>                    
五條市立野原中学校 教諭 梅 田 良 佳
広陵町立真美ヶ丘第一小学校 教諭 杉 村 幸 恵

マルチメディア支援係長 西 川   潔
指導主事 廣 田 清 雄
指導主事 中 井 基 雄

<平成20年度>                    
大和郡山市立片桐西小学校 教諭 丸 山 裕 二

情報教育係長 廣 田 清 雄
研究指導主事 辻 内 一 浩
研究指導主事 小 ア 誠 二

※ 本プロジェクトは、平成19、20年度の2年間の報告をする。
 
4 学校コンサルテーションの実際
  −特別支援学校におけるセンター的機能の充実−
○ 学校コンサルテーションの実際
  −特別支援学校と小学校との協働による教材作りから−
                          県立西和養護学校  教諭 丸 田 浩 美
○ センター的役割としての教育相談の現状と課題
  −教育相談の観点と整理と評価、校内への蓄積の検討−
                          県立二階堂養護学校 教諭 中 村 靖 史

                              特別支援教育係長 中 村 美 和
                                研究指導主事 中 村 英 子
                                研究指導主事 吉 崎 純 子

5  学校カウンセリングの進め方
   −児童生徒の発達段階に応じた効果的なカウンセリングの実践的研究−
天理市立朝和小学校 教諭  松  本  和  也 
三郷町立三郷中学校 教諭  守  田  華  保 
県立法隆寺国際高等学校 教諭  清  原 あ ず さ 

教育相談係長  山  本  健  治 
研究指導主事  森  下  道  男 
研究指導主事  森  本  昭  博 
研究指導主事  橋  本  宗  和 


研 究 集 録
U 奈良県教育委員会指定研究員の部
B.個人研究

研究の概要
1 魅力と活力のある学校づくり
  −「たくましく生きる力を育てる」ための地域と学校の連    携−
広陵町立広陵中学校
     教諭 川 田 竜 也
2 魅力と活力のある学校づくり
  −「五高ルネサンス」生徒と共に取り組むシラバスの充実−
県立五條高等学校
     教諭 生 田 視 義
3 新しい学校事務の在り方を探る
  −学校事務を効果的に機能させるためには−
生駒市立俵口小学校
     主査 大 西 恵 美
4 子どもの確かな人権意識を育てる学習
  −発達障害への理解を深める取組−
県立香芝高等学校
     教諭 福 田 裕希子
5 魅力的な道徳の授業を進める指導の工夫
  −地域の素材を生かした道徳資料の開発−
田原本町立南小学校
     教諭 小 泉 伸 美
6 主体的・実践的な力を育てる特別活動の指導
  −自分たちの力でよりよい学級づくりを目指す話合い活動−
吉野町立吉野小学校
     教諭 片 山   純
7 豊かな人間性を培う家庭教育の推進
  −家庭で子どもと親が過ごす豊かな時間−
天理市立丹波市小学校
     教諭 西 辻 雅 代
8 小学校教育との円滑な接続を目指した幼児教育の在り方
  −幼小の連携を通して−
天理市立丹波市幼稚園
     教諭 酒 本 智 香