SSH活動と講演の記録(5)

第9回講演 「太陽系を揺るがす太陽表面爆発」

京都大学大学院 理学研究科附属天文台 准教授 北井礼三郎  先生

 最初に太陽の構造について説明をされた。地球にふりそそぐ光と熱の源、「太陽」。直径は約140万キロで地球の約109倍、表面は絶対温度が5800Kである。重力によって強く圧縮された中心部は高温・高密度で、4個の水素原子核が1個のヘリウム原子核に変わる核融合がおきている。毎日大量の水素がヘリウムに変わっても、 あと50億年以上は現在のまま輝きつづけおり、約46億年前に誕生した太陽は、今、壮年期をむかえている。

 太陽の中心の核は 核融合により水素がヘリウムに変わり、光子を放つ太陽の炉である。放射層は核を囲む層であり、ガスが極めて強く圧縮されているため、核が放つ光子がこの放射層を通過して太陽の表面に出るまで何十万年もかかる。

 対流層は まるでポットの湯が沸騰しているときのようにプラズマが撹拌されている領域である。プラズマは太陽の内部から立ち上がってはまた内部へと巡り戻っていく。

 光球面は太陽が半透明(内部)から透明(外部)になり可視光になる境界線である。光球面の上には大量のガスとプラズマがある。多くの場合、光球面という言葉は太陽の表面という意味。光球面は地球に必要な可視光を放出するが、そのほかに紫外線も放出している。

 彩層面は光球面のすぐ上にある赤オレンジ色の不均一なガス層で、太陽面と太陽の希薄な大気の遷移領域(Transition Region)。彩層面の温度は光球面よりも高いが、コロナよりは低い。紫外線を含み、人口衛星や望遠鏡による観測対象となる(プロミネンス、プラージュ、フィラメント、フレア、ポストフレアループなど)。

 コロナは 中性のガス原子とプラズマ粒子が互いに衝突することなく長距離移動できる太陽の大気層であり、太陽の光を望遠鏡で集めて「投影装置」に投影するか、「減光フィルター」で減光すれば、太陽の表面を観測することができる。人の目で観測できる太陽の表面を「光球面」と言い、温度は約6,000度で太陽の光の大部分(可視光線)はこの光球面からでている。

 太陽の内部では水素のガスが核融合反応により、放射・対流を経て「光球面」に「粒状斑」として現れる。このとき、対流が起こらない場所では熱が伝わらないため温度が下がり、「黒点」となる。黒点の下に押し込められた熱は黒点の周辺の「白斑」となって現れる。また、太陽は27日の周期で自転している。ただし、太陽はガスで構成されているため、回転の速度が緯度によって異なり、これが黒点活動の主な由来になっている。いずれも、太陽が生きている証拠である。

 粒状斑は約1000kmの小さなセルで、黒点以外の全光球面を覆っている。対流層の最上部。高温の対流物が内部から表面に噴出した後、冷えて黒い筋に沿って内部に沈んでいく。ひとつの粒状斑が表面に残るのはわずか20分くらいで、次の粒状斑が現れてくる。粒状斑内の流れは秒速7kmという超音速。その衝撃波音とノイズは表層で波を起こす。白斑 Faculaeは通常は、光球の端近くで見えやすい明るい領域。磁気領域だが黒点より狭く収束する。

 黒点はエネルギーの大半が地球の磁場の1,000倍もの磁場にとらえられているため、温度が2,000℃と低い。ソーラーサイクルの11年周期の基準となる。黒点は普通、数日継続し、大きいものになると数週間も続くものがある。地球の磁場の何千倍もある大磁場で、通常は対で発生。北の磁場が正、南の磁場が負。黒い部分「暗部」は磁力が強く、明るい部分「半暗部」は磁力が弱い。

 次にオーロラについて説明があった。太陽に端を発する「太陽風」と呼ばれるプラズマ粒子の流れが地球磁場と相互作用し、複雑な浸入過程を経て地球磁気圏内の夜側に広がる「プラズマシート」と呼ばれる領域にたまる。プラズマシート中のプラズマ粒子が地球大気(電離層)に向かって高速で降下し、大気中の粒子と衝突すると、大気粒子が一旦励起状態になり、それが元の状態に戻るときに発光する。これがオーロラの光である(発光の原理自体は蛍光灯と同じ)。オーロラは肉眼では白くぼんやりとしか見えないことが多いが、それはオーロラの発光が暗いためで、いくつかの色をもっている。本が読めるほど明るいオーロラだと、はっきりとその色を識別できる。肉眼で見られるオーロラの色はほとんどが電子の降り込みが原因で、発光が起こっている高度によって違う。上方の高度200 km以上では赤色(630nm)、200kmから100kmの低高度では緑色(557.7nm)、そして稀に100km以下の最下部にピンク色や紫色を見ることができる。赤と緑は酸素原子によるもので、ピンク色(連続光)は窒素分子、紫(427.8nm)は窒素分子イオン(N)による。通常見られるのは緑色のオーロラである。これは大気の主組成の高度変化と関連しており、100km以上では窒素分子に比べ酸素原子が卓越していることを示す。また赤と緑の境は酸素原子の密度変化が影響している。降り込む電子のエネルギーが高くなると、平均的なオーロラの発光高度は低くなる。太陽活動現象に伴う磁気嵐により、たまに日本のような低緯度地方でも赤いオーロラが観測されることがある。これは磁気嵐によって磁力線が低緯度側にゆれることや、赤いオーロラが高高度であるために地平線に沈みにくいことと関係がある。