平成24年度 SSP講演会(1)

はじめに

 科学に対して生徒たちがもつイメージはニュースなどで耳にしたことのある分野について「おもしろそうだな」と漠然と思っている程度で、具体性に欠けるきらいがあります。

 そこで、SSP講演会では、自然科学およびその関連分野について造詣の深い講師を大学や研究機関等からお招きし、最先端の内容を具体的にお話いただくことによって、生徒の興味・関心を深める意図をもって実施されます。

 また、今、自分が身につけるべきスキルについて生徒に再認識させ、自らのキャリアデザインを行う動機付けとさせる意図ももって行われるプログラムの一つです。

 

講演会の概要

  

実施日

講  師

テ ー マ

第1回 9月13日(木) 大阪大学 尾角 正人 先生 大学1年で学ぶ数学のお話
第2回 9月14日(金)

奈良先端科学技術大学 Steven Nishida 先生

奈良から世界へ
第3回 9月27日(木) 外務省 上席専門官 上野 久 先生 日本の外交
第4回 10月1日(月) 大阪市立大学 首藤 太一 先生 医学部入学はスタートライン
第5回 10月5日(金) 金沢大学 香川 博之 先生 南極のオーロラと観測に必要なもの
第6回 10月31日(水) 関西大学 桝井 健 先生 建築の魅力
第7回 11月7日(水) 大阪大学 安食 博志 先生 光とは何か?光科学への招待
第8回 11月15(木) 神戸大学 黒木 修隆 先生 コンピュータグラフィックスと3Dの世界

 

第1回講演 「大学1年で学ぶ数学のお話」 

大阪大学基礎工学部情報科学科 准教授 尾角 正人 生生

 理・工系大学に進学する人は、数学を専門としなくても、必修科目として数学を学習する大阪大学基礎工学科では、1年時に「解析学A,B」「線形代数学A,B」「数学演習A,B」必修科目として課している。ここでは、「解析学」と「線形代数学」のことについてその概要を説明する。

 「解析学」は、連続的に数値化された対象を扱う学問で、諸学の基礎となっている。キワードは「微分」。

 さて、現代においては、電波は幅広く利用されていて、もはや欠くことのできない存在ある。君たちも、携帯電話を利用していると思うが、電波が利用できなかったら、メールなどのコミュニケーションは不可能である。では、その電波を、実験によってはじめて認した人物はだれか?それは、 ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツ(Heinrich Rudolf Hertz)である。 だが、それ以前から電波の存在は予想されていた。ジームズ・クラーク・マクスウェル(James Clerk Maxwell)が書いた文の中にある「マクスウェルの方程式」から、電波が存在するでろうと予想していた。その、「マクスウェルの方程式」は、微分程式である。微分で書かれた方程式から、電波の存在が予想され現在では実用化されているのである。これは、ほんの一例であり微積分を勉強することによって、自然の法則をより深く理解できのである。

 「線形代数学」は、自然科学や工学はもちろん情報科学や社会科学などの諸分野においも広く用いられるきわめて有用な理論である。

 キーワードは「連立方程式」。インターネットの普及により、我々は様々な情報をインターネットを介して得ている。今日も、奈良高校に来るにあたり場所等を確認するためにGoogleで「奈良高校」を検索して、ホームページなどを確認してから来た。みなさんも、何か知りたいことがあったらインターネットで検索すると思う。その時、検索結果の順位付けは、どうなっているのあろうか。それは、ホームページの重要性を評価して、それをポイント化し、ポイントの高い順に表示してあるのである。ホームページの重要性を評価するのは、次のような観点からである。

  1. 重要なホームページは、たくさんのホームページからリンクされていると考えられる。
  2. 重要なホームページからのリンクは、価値が高いと考えられる。
  3. ただし乱発されたリンクは、あまり価値が高くない。(リンク集は、1つのホームページに注目しているとは言い難い。)

以上の点から、各ページのポイントを計算する。

 計算方法は、そのページがリンクされているホームページにおけるポイント数をリンク数で割った値の総和である。


=ページ1のポイント数/ページ1へのリンク数+ページ2のポイント数/ページ2のリンク数+…

によって得られるが、これが連立方程式となる。

たとえば、

x=z/2 、 y=x/3+z/2 、 z=x/3+w 、 w=x/3+y

のように。

 これを解くと,、x=3, y=4、 、 z=6 、 w=5 となるが、なぜ、正の数になるのか?また、他に解はないのか?未知数が膨大になったときに、解を早く計算するアルゴリズムあるのか?その答えはすべて「線形代数学」の中にある。このように、「線形代数学」がインターネット技術に活用されている。
 以上、具体的例を通じてみたように、数学は諸学の基礎になっている。科学(理学)と技術(工学)の、どちらにとっても数学が土台となっている。

 

  

第2回講演 「奈良から世界へ」 

奈良先端科学技術大学院大学 特任教授 Steven Nishida 先生

 まず、挨拶などで緊張をほぐした後、ほとんど英語で講演していただいた。途中、強調するところ、わかりにくそうなところなど、適宜日本語を交えながら説明していただき、和やかな雰囲気の中で講演していただいた。

 Steven 先生の生まれ育ったカリフォルニアのこと、学生時代のこと、たくさんのアルバイトなどをされて、いろいろな経験を積んでこられたことなど、その様々な経験は一つも無駄にならないことなどを教えていただいた。

 また、先生がいろいろな国で講演をされて、国際的な場で活躍されているお仕事の内容などについて話していただいた。世界で働くこと、国際交流によって外国の多くの人々と出会われ、色々な国の方々とお話されていることなど興味深いお話をしていただいた。

 また、プレゼンテーションでの重要なポイント、プレゼンテーションの仕方なども教えていただいた。そして、実際にアメリカでされた奈良先端科学技術大学院大学を紹介するプレゼンテーションを実際に見せていただいた。

 そして、Steven先生の出身や国籍にこだわらない「地球人」としての考え、そのあり方、どのようなポイントを守れば「地球人」になれるかなどお話いただいた。

 これから生きていくための大切な6つのKey Point、「挑戦をし続ける姿勢、色々なことに挑戦し、世界に羽ばたいていこう」など、どれも興味深いお話をしていただいた。

 終始、情熱的に力強く話されるSteven 先生の講演に、誰もが引き込まれ、感動し、励まされ、これからの自分に活かしたいきたいと答えていた。

 

 

生徒の感想から
  • 比較的簡単なわかりやすい英語で講演してくださり、ところどころ重要なところは日本語を交えて話していただいたので分かり易かった。
  • 大きなスライドを使って、冗談も入れながら聞き取りやすく話してくれたのでよかった。
  • プレゼンでのスライドに同じ言葉や多くの文字を載せずに、シンプルで分かりやすいのが一番であるということがわかった。
  • 先生の過去の仕事、英語の上達方法、先生の生き方についてもっと知りたい。
  • 初めてのことに挑戦して困難にぶつかったとき、どのように対処したかを知りたい。
  • どのように生きていけばよいか、深い内容であった。
  • プレゼンテーションの重要なポイントなどがまとめられていてすごかった。
  • プレゼンでのイラストや図がすごく効果的だった。
  • プレゼンの仕方が本当に上手くて、話もとても興味を持たせるような内容であったこと。
  • 「今までやったことのないことを試すことで、それが自分の経験へとつながる」という言葉が印象に残った。
  • 最後のKey Pointにはすごく重みがあって、忘れないでずっと心に留めておきたい。
  • Steven 先生が出身や国籍にこだわらず「地球人」だと考えていたところに憧れた。
  • 教師になるためには、生徒一人ひとりの考えを尊重してあげるというのがすごく印象的だった。これからももっと勉強して、奈良高校に教師として戻ってきたい。
  • 学生時代は哲学など、今の仕事とかけ離れたことを学んでいたのに、ある一つの思いによって教育に関する仕事に行きついた。「興味のあることは、やって見なければ何も始まらない。」という言葉が印象に残った。やってみることはよいことだけれど、そのための準備もとても大切であるといっていた。色々な経験を積むことで、人生が変わってくるんだと思った。
  • 「地球人」であるという意味を考えた。今は、「日本人」、もっといえば「奈良県民」でしかないような気もした。いつかたくさんの国を訪れてみたいと思っていますが、それまでに今の自分が何をすべきや、今自分が何をしたいのかをしっかり見つめて、ためらうことなく挑戦し、たくさんの経験をつみ、将来「地球人」になれるようにしたい。
  • 何事にも挑戦する先生の積極性すごいと思った。困ったことがあってもまたやろうとする姿勢は見習わなければならないと思った。