平成24年度 SSP講演会(2)

第3回講演 「」 

大学生生

 

 

 

 

 

 

 

 

第4回講演 「医学部入学はスタートライン~良医に求められる資質とは」

大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター

大阪市立大学大学院 医学研究科 卒後医学教育学 准教授 首藤 太一先生

 簡単な自己紹介をしていただいた後、まずは医学部1回生に対する講義内容を紹介して頂いた。

 患者が医師に求めているものとして、技術・人柄・コミュニケーション力・24時間受付体制・お金にこだわらない姿勢が挙げられ、さらに患者は医療ミスに対しては絶対に許さないという強い気持ちを持っている。また、有名プロ野球選手のデビュー当時の低迷に対するファンの野次の例より、たとえ医師1年目であろうともプロとしての心構えとその資質は必要である。では、プロの医師とはどうあるべきか、というとマニュアル通りにだけ動くのではなく、咄嗟に起こったトラブルに対しても素早く対応できなくてはいけない。さらに、医師1年目で食道がん手術に立ち会ったとき、突然の大出血に対応したベテラン医師の態度から、中心となる立場の人物は何が起こっても腹を据えて、大きく構えていなければならないということを学んだ。これから医師や医療人を目指す人にはこういったことを知っておいて欲しい。

 次に、当時の勤務医の生活について、教えて頂いた。当時は大学病院に勤務しており、外来患者や手術、自らの研究、後輩の論文チェックなど週の労働時間が100時間を超えており、今では考えられない状況であったが、それが今の自分の基盤を作っている。家族との食事も年間数えるほどであり、給料もかなり低いものであったが、このような状況でやってこられたのはプライドと責任感があったからである。

 続いて、大学施設にあるSSC(スキルシミュレーションセンタ―)は、学生、医師、看護師等が現場に出るまでの間にスキルアップのために手技等のトレーニングを行う、非常に利用率の高い施設である。ここでの実習をする際に、スキルアップの方法として大事なことは、常に「次は自分がやらなければならない」という意識で模範実技を観察しなくてはいけないということである。教える先生も見せるだけであり、現場では1人で対処しなくてはいけないこともあるのだから必死で見て覚えるようにしなければならない。

 また、会場で模擬面談(医師と患者)を行い、Aパターン、Bパターンでその違いがどこにあるかを気づかせた。そして人の目をしっかり見てうなずいてくれる事の大切さ、つまり共感的態度として、目を見る、話を聴く、うなずくことを通じて患者を理解することが最も大切である。これは、医師だけではなくどこの世界でも通用することである。

 次にアメリカの医学教育について、アメリカと日本の違いなどについての説明があった。その後、いい医師に必要な物として、スキル、知識、マインドセット(心意気)の3つがあげられ、アメリカでも教えるのが一番難しいのは、マインドセットである。マインドセットは人間力であり、つまりはコミュニケーション力である。最近の若い医師の中にもその力に欠けている者もおり、長年かけて個々の感性を磨いていかなくてはいけないものなのに、このコミュニケーション力をつけることを学生時代に後回しにして来たのではないか。

 プロの医療人の仕事は2つであり、病気を治癒(cure)することと癒す(care)ことである。そしてケアするためには必ずコミュニケーションが必要であり、その第1歩はあいさつである。これからいろんな人と対峙していかなくてはいけないのだから、世の中のことは知っておく必要がある。だから世の中に無駄なことは一つもないし、患者心理を理解するためにもしんどいことや痛いことも経験する必要がある。そうすることでコミュニケーション力がついてくる。コミュニケーション力は人間力、この向上に心がけるべきである。さらに、コミュニケーションをとるときは知識や技術だけでなく、患者や家族を理解するためであることを忘れない。病だけでなく人、家族をみることが大事である。

 医師を目指す人は、受け身でなく何でも自分で気づいてやってみることが必要である。いろいろなことを経験しながら、感性を育んでいく。「太い根、太い幹に輝く花は咲く、無駄だと思うことが人生の滋養になる。」良医になるという意味だけでなく、いい大人になるという意味でも感性、コミュニケーション力を磨くことが大切である。

 このような内容で講演して頂いた。

 

生徒の感想から
  • 具体的な内容でわかりやすく話して頂き、医療に携わる仕事の大変さや意味を理解できた。
  • 医師や医療人としての覚悟と意欲がわき出てきた。
  • 医師の道を考えていたが、その大変さに気づき、もう一度しっかり考えようと思った。
  • 医師としてだけでなく人として大切なことを教えて頂き大変感動した。
  • 自分の生き方をもう一度考え直す着かけになった。

 など、講演後の生徒たちは自らの進路に向けて積極的にそしてより具体的に考えるようになってきたことが伺える。また、自分自身の生き方まで考えを深めるようになっており、非常に意義深い講演になったと思われる。