平成25年度 SSP講演会(4) 

第7回講演 「広告・クリエイティブという仕事」

講師 ㈱電通 関西支社 石川 潔 先生  岡田 真人 先生

 日本の広告の黒子的な存在である電通で、世界的に活躍されているお二人の講師から、第1部「広告・クリエイティブという仕事 ~主にCMの現場から~」と、第2部「広告会社の多岐にわたる業務紹介」のお話を伺った。

 第1部では、CMプランナーはアイディアを生み出す仕事であるという紹介に始まり、CM制作の仕事の流れについて説明され、実際に完成したCMを上映された。その中で、出演者の有名女優さんが撮影のために、CMに登場する商品を30個以上食べたなどというエピソードも織り交ぜ、和やかな雰囲気の中での講演であった。

 その後、アイディアとは何か?という話題になり、アイディアとは世界で最も必要とされているものであるが、それは既存の要素の組み合わせである。身近なものの意外な組み合わせから面白いものが生まれてくる。例えば、「美女」と「野獣」という反対の要素のものを掛け合わせても面白いアイディアが生まれるということを、シャンプーのCMを例に説明された。

 アイディアを、自分だけの個性のあるものにするためには、何より経験が大切であり、また、自分が作りたいと思っているもののイメージがはっきりしていればしているほど完成度が高くなるというお話もされた。

 アイディアを生むために、高校生活では、友人との生活、部活動、恋愛などさまざまなことを経験してアイディアの引き出しをいっぱいにしてもらいたいというアドバイスをいただいた。

 第2部では、広告業界の仕事がいろいろあるという話と、そこへ至るまでの進路の話をしていただき、広告業界の仕事は、CM制作だけではなく、イベント担当、企業へのアポイントメント獲得、商品に対するニーズを調査するマーケティングなど多岐にわたっており、さまざまな能力が求められる。

 電通には美術大学の卒業生、もと獣医、一級建築士、スポーツ選手等、文系・理系を問わず、いろいろな経歴・学歴の人がいる、というお話をしていただいた。

 

生徒の感想から

 全員の生徒が講演後アンケートで、「わかりやすかった」「興味がもてた」と回答している。

 特に、パワーポイントのスライドにおいて、「文字が少なくて見やすかった」という感想もあり、この点は、生徒が発表する立場になった場合も大いに参考になるのではないかと思われる。

 また、お二人とも本校OBであり、高校時代の話も交えて親しみを持つことができ、最後までまったく飽きることなく、あっという間に時間が過ぎていった。

 質疑応答でも、いろいろな質問が多く出るなど、終始熱気にあふれる講演会で、終了後も残って質問する生徒も多かった。

 「夢を叶えるためにはどうしたらいいか?」という質問に対して、「叶うまで最後まで諦めないことが大事」という回答があったが、これが質問者のみならず、多くの生徒にとって強く印象に残ったようである。

 

  

第8回講演 「お薬のデザイン(医薬品設計とは)」 

近畿大学薬学部創薬科学科 教授 仲西 功 先生

 薬のデザインについて、「お薬はデザインするものなのか」、「お薬のデザイナーがいるのか」などについて次のようにお話いただいた。

  • 薬のデザインとは?・・・お薬の分子の形(原子のつながり)や分子の性質(原子の種類)を考えることである。
  • 薬はなぜ効くのか?・・・薬が病気の原因となっているタンパク質(酵素や受容体)の働きを調整する。
  • 病気の治療には・・・酵素の数が異常に増えているときには酵素の働きを抑えてやればよい。基質の代わりに酵素にくっつくものを考えてあげるとよい。酵素で分解されないほうがよく、酵素により強くくっつくものがよい。
  • 薬の働き(酵素の場合)・・・薬は酵素に強くくっつくが、切れない分子である。異常に増えた酵素の働きを薬でブロックするとよい。
  • 薬をデザインする・・・タンパク質にくっつくものを考える。

 その他にも、よく効く薬について、薬のデザインの難しさについてもお話いただいた。

 創薬は、病気で苦しむ患者さんを助けることができるやりがいのある研究であり、有効性・毒性・安全性など乗り越えなければいけない大きな障壁がたくさんあり強い情熱が必要だが、多くの若者が創薬に興味をもち、薬学を学んでくれることを期待していると話された。

 その他にも薬学部で実際に学ぶ内容についてや、4年制と6年制についても説明していただいた。

 また、現在高校で学んでいる化学・生物・物理などの基礎をしっかり学んでおくことの重要性についても話していただいた。

 

生徒の感想から
  • 講演を聞いて、薬を創る研究者になりたいと思った。今まで知らなかった薬の正しい役割を知りました。
  • 薬の役割や酵素の性質などを知ることができ、薬学部を目指す僕にはとってもよい経験になった。さらに知りたいことが出てきたので、自分でも調べてみたいと思います。
  • 創薬といってもこんなに考えなければならない難しいものだと知った。簡単に「○○に効く薬を創ってほしい」なんてことは言えないということがわかった。
  • 一番驚いたことは、1つの薬を創るのには9~17年もの歳月がかかり、コストも数百億円もかかり、確率が低いということです。強い情熱で頑張り続けることはすごいと思う。自分たちにも関わる薬についてなので、今回のようなお話が聞けてよかった。とても興味深くあっという間の講演時間だった。
  • 薬の成功の確率が3万分の1というのにびっくりしました。
  • 薬を創るためには化学・生物・物理などのすべてが必要になってきて、薬学を目指すには色々な知識が必要になってくるのだなと思った。薬の仕組みが大変に面白かった。
  • タンパク質のはたらきを人が左右できるのは面白いと思った。
  • 薬をデザインするには、病気のタンパク質に合う分子の形や合う性質の薬を考えることで、タンパク質の機能を調整するには、効き目だけでなく、毒性や体内での挙動がよいのかということや、溶解性・安定性などについても考えるなど、難しいと思った。
  • 具体的な例を用いて、科学の知識の少ない私たちに終始わかりやすく説明できることはすごいと思った。

 以上のように、今回の講演は進路について迷っている生徒に示唆を与えてくれる内容で、将来を考える生徒の参考になったようである。また、創薬に携わる研究者の弛まぬ努力に感心し、研究にはお金も歳月もかかり何より情熱が必要なことに驚いていた。化学・生物だけでなく、物理など色々な知識が研究には必要とされ、日頃の学習が大切であることを教えていただけるよい機会になったと思われる。