平成29年度 SSP講演会(4)

第7回講演 「AI(人工知能)でお薬を創ることはできるか?」

近畿大学薬学部創薬科学科 教授 仲西 功 先生

 薬は病気の原因となるタンパク質(受容体や酵素)のはたらきを調整するものであり、創薬は薬を「デザイン」し、薬の分子の形や分子の性質を考えることである。

 病気はタンパク質である受容体や酵素の異常により発症する場合がある。それを防ぐために、原因タンパク質の異常なはたらきをブロックする薬の「デザイン」が必要である。

 インフルエンザ治療薬「タミフル」はウィルス自身がもつシアリダーゼという酵素に特異的に結合し、そのはたらきをブロックするように「デザイン」されたものである。つまり、病気を治療するためには、原因タンパク質へ特異的に結合できる「デザイン」された低分子物質が有効である。そこで、創薬の最新兵器である「AI(人工知能)」を使ったin silicoスクリーニングにより、タンパク質の低分子物質結合部位の候補探索が自動かつ高速に行えるようになった。

 しかし、有効性、毒性、安全性などの障壁を超えなければ薬として使用することができない。創薬はギャンブルのようなものであり、また、ひとりの天才だけが「デザイン(創薬)」するわけではない。創薬は、強い情熱が必要であり、病気で苦しむ患者さんを助けることができる大きなやりがいのある研究である。

 現在学んでいる物理・化学・生物などの基礎学力をしっかり身につけることの重要性や薬学部4年制(製薬研究者の育成)と6年生(薬剤師を育成)の違いについてもお話していただいた。

 最後に、多くの若者が創薬に興味をもち薬学を学んでくれることを期待している、と講演を締めくくられた。


生徒の感想から

 講演後の生徒の表情や質疑応答、アンケートの結果から、好評であったことがうかがえた。特に薬学部への進学を考える生徒にとって、必要な力や大学での具体的な研究内容を知る重要な機会となり、生徒の進路選択にとっても非常に有益な内容であったのではないかと考えられる。また、わかりやすい説明で創薬がどういったことなのか、イメージを得ることができた、という感想があった。

 

 

第8回講演 「石ころを宝石に」

脚本家 今井 雅子 先生

 講師の今井先生は、大学卒業後広告会社でコピーライターを務められた後、脚本家として独立なさいました。

 ご講演の初めに、これまでに手がけられた作品を振り返り、その活動の幅広さについて話して下さいました。その上で、脚本家の仕事は「つなげる」仕事であるとし、その基本姿勢は、知識や経験、人脈、アイデアをつなげることにあるということ、「石ころ」のようななんでもない要素を、想像力をもってして拾い、磨き、「宝石」にしていく作業であるということをおっしゃっています。

 「鳥獣戯画」に台詞をあてるワークショップを例として示しながらおっしゃった、「想像力は誰にでもある。はたらいていないだけ。」という言葉は、多くの生徒の心を刺激したようです。また、実際にどのように発想を広げ、作品として結実していったのか、実際の映画やドラマ、アニメ等々の制作時の貴重なエピソードを惜しみなく紹介していただきました。

 想像力を駆使する楽しい作品作りが成功していくその陰には、しっかりとアンテナを張って対象に向き合う丁寧な姿勢や、関わる人たちと誠実に向き合い対話する姿勢がうかがえました。途中で紹介なさった「傘と心は開いたときがいちばん役に立つ」という言葉がまさにその様子を表しているようでした。

 最後に「宝物はあなたの中にある。宝の山とするか、宝の持ちぐされにするかはあなた次第」と、ドラマ化された小説の一節を生徒に投げかけて、講演は終了しました。

 ラジオドラマを制作する放送部の生徒や、小説や絵画等表現することを志している生徒を中心に、多くの質問が出され、終了後も個別に話を聞いていただき、大いに刺激を受けた様子でした。脚本という特殊な世界の話でありながら、脚本を越えて、高校生の生き方、ものの見方を問い直すような、有意義なご講演となりました。

 

 

生徒の感想から
  • 「石ころを宝石に」の題の意味はよくわからずに参加したのですが、参加して自分がこの講演会で求めていたもの以上のものを手に入れることができたと感じました。想像力の発揮の仕方などを参考にしたいです。
  • 「てっぱん」を見ていたので、今井さんのお話を聞くことができてうれしかった。とてもすごい内容のお仕事をされているのに、身近なことからやさしくわかりやすく教えていただいてすごいなあと思った。楽しそうな仕事だと思った。
  • 想像の飛躍力に大変驚かされた。何か最後余っていたところに入っただけだったのに、すごく活躍されている方で、とても驚いた。おじゃる丸など耳に入ったことのあるものばかりでいい講演会がもらえたと思った。高校生時代の今井さんもとても多才で感心した。映画作りの際の原点も、思ったより軽く考えたもので、驚いたというか拍子抜けした。原作と自分との接点を探すというのが、主人公の立場に立って作品を考える、ということにとても納得できた。
  • 今井先生が自分の知っている作品をたくさん書いておられると知って、とてもすごい人の話を聞ける機会を持てて良かったです。今井先生の高校時代のお話や、脚本の書き方などさまざまなジャンルのお話をしてくださって、ずっと興味を持ってきくことができました。脚本を書くことから、TV関係の人々と何回も話し合いをして作り上げていくと知っておもしろいなと思いました。自分が実際見ている「朝ドラ」の秘話や体験談を聞いて、少し「朝ドラ」に対する見方が変わったと思います。
  • お話の始まりが今の私たちぐらいの年齢のときの経験談だったので、親近感がわき、聞きやすかったです。今まで「脚本家」という仕事についてよく考えたことはありませんでしたが、仕事の本質や、仕事をする上での大切なことについてうかがえて良かったです。「子ぎつねヘレン」「てっぱん」など、様々な作品の裏話や、脚本制作中のできごとの話はとてもおもしろいと思いました。脚本家という仕事は「つなげる」仕事であり、大変そうだと思いましたが、話をされている今井さんがとても生き生きしていらっしゃったので、とてもやりがいのある仕事なんだろうなあと感じました。今回の講演の中には心に染みる言葉が多かったので、これからもそれらの言葉を覚えておこうと思いました。今回のお話を心に留めて、自分の今後に生かしていこうと思います。
  • 新たな発見の多い講演会となりました。今まで脚本家という仕事にはあまり興味を持ったことがなく、テレビなどで言葉を聞いたことがある程度でした。しかし、今日の講演を聞いて、おもしろい職業だと感じました。私が特に印象に残った言葉は、「想像力は誰にでもある、はたらいてないだけ」というものです。自分にはそんなものがないと諦めてしまうより、はたらいてないだけで自分にはあるんだ、はたらいてないのならはたらかせればいいんだ、と前向きに考える方が良い方向に進んでいきそうだと感じました、これからの人生に活かしていけそうなこともたくさん知ることができたので、良い経験になったと思います。
  • 脚本についての話をたくさん聞くことになるのかと思っていたら、脚本の話からいろいろなことにつながっていておもしろかった。自分は文章ではなくてよく絵を描いたりするけれど、「真実を集めて嘘を作る」というのは絵を描くことにも使われているな、と思った。実際の人間を真似して、そこから自分好みの肉づきや形など、ちょっとずつ嘘をついていくのがとても楽しいと感じている。
  • 「芸術とは数ある嘘の中で最も美しい嘘のことである」という言葉に心をひかれた。脚本家の仕事について、書くことだけだと思っていたのは明らかな間違いだと知った。僕たちが普段楽しんで見ている映画やアニメ、書籍などの背景にどれだけの人の努力、想像力、手間、時間などがかけられているのかを知った。一生に一度あるかないかくらいに貴重な話が聞けた。
  • 言葉の使い回しが上手く、話している内容がすんなりと頭に入ってきた。さすが脚本家の方だと思うと同時に、今井さんは、つないで石ころを宝石にするとおっしゃっていたが、おそらくコミュニケーション能力に長けているからこそできたんだろうなと思った。いろいろなことに関心を寄せ、それらをつなぎとめようとする意志が創作につながるということを聞いて、才能ではないか、と思ったが、いろんなことを、たとえ小さくてもネタとしてメモしておくという意識と努力が大事なんだと思った。
  • 鳥獣戯画、僕が考えたのは、・[いつ?]男がカエルで女がウサギに(地球温暖化の影響で)変わってしまった時代・[どこ?]地球上のどこか。・異星からの侵略者サルに襲われて死にかけのカエル。・カエルを一匹倒したは良いが、武器は一回しか使えないものなので逃げている。でした。
  • 脚本家とはどのような仕事なのか、想像力はどうすれば使えるのか、どのようにして映画のストーリーが生まれるのか、など興味深い話をさくさんしてくださった。何かを作るとき、まずネタがあり、そこから人や知識やアイデアなど様々な点がつながり合って、最終的にはすごい「宝石」ができるという話にとても感銘を受けた。具体的な映画製作の秘話や、いろいろな名言も紹介してくれたのが良かった。いろいろな点がつながって、ひとつのものにするという脚本家の仕事はすごいと思う。今後の自分の生き方にもとても参考になる内容だった。今回の講演が、いつか自分の点になって将来のどこかにつながればいいなと思う。
  • 私は文章を書いたり、また本を読んで想像することが好きなので、今日の話はとても興味深かったです。想像力をはたらかせるためのスイッチは自分の中にある、なんで?どうして?という疑問や経験がすごく大切なんだと思いました。また脚本家は書くだけじゃなく「つなげる」仕事なんだということを初めて知りました。点と線、そして円につなげていく作業がとても大切だと知りました。また、講演の中の「芸術とは数ある嘘の中で最も美しい嘘のことである」(byクロード・ドビュッシー)という言葉がすごく自分の中で響きました。取材や自分の調べたことに基づいた真実を集めて嘘を書く。とても脚本とは奥が深いんだと思いました。本当に今日この講演会を聞けてよかったです。今日のこの講演も自分の経験となり、いつかつながっていけるかもしれないと思いました。
  • 今日は貴重なお話ありがとうございました。私はドラマやバラエティーなど画面の中をつくることに憧れていて、脚本家さんのお話で具体的なことが知れて良かったです。私は絵を描くことが好きで、一つの何もないところになにかを描く、作ることが好きだったのですが、小さい頃は好きにかけていたのに、今では好きなように描くことができずにいます。“悩み”や“人に見られて評価される”という怖さがじゃまをして筆を動かすことができないことがあります。今日のお話で、絵ではないけれども高校生のうちは好きなようにやっていいという言葉を聞いて、もっと自由に、お金を発生させないものなのだから自由にかいていいんだと思えました。画面の中を作る、ということで、色々な感性が必要なことをあらためて感じ、高校生のうちに様々なものに触れておきたいなと思いました。自分の想像したもの、ことを表現することがいかに難しいけれどやりとげた時の達成感がある魅力的な仕事だと思い、あらためて自分もこんな仕事に就きたいなと思いました。「つなげる」という言葉が印象的で、知識だけでなく色々な経験、アイディアを「つなげる」作業をすることで、まっ白なキャンバスに色づけていくことにすごく面白そう、楽しそうと思い、コミュニケーションの能力の大切さなども感じました。自分自身人見知りがひどく、あまり上手に話せないのですが、様々な経験や人脈があると深みのある面白い作品がつくれると思うので、人と関わることに楽しみを見いだし、自分の想像した、自分の中で思っていたことを表現できるようになりたいなと思いました。今日は本当にありがとうございました。
  • 自分自身、考えたり、自分の気持ちを表したり。読んだりすることが好きなので、今井先生の講演自体にとても興味があり、講義を受けることができ、とてもうれしかったです。「石ころを宝石に」というテーマどおり、何気ないものからアイデアを拾い、つなげ合わせていき、そして一つの作品にするというそんなすてきなお仕事をやられているなと思いました。自分の欠点を個性に変える、世間に伝えるということを聞き、私も苦手を強みに変えていきたいと思いました。
  • 私は昔から想像したり、文章を書いたりするのが好きで、以前は「脚本家」「小説家」「翻訳家」を目指していました。だから、今回この講演を聴かせていただいて、今井先生の発想の展開や言葉選びに感銘を受けました。脚本についての話だけではなく、公募の留学やコンクールに応募する、チャレンジ精神、石ころを宝石に“つなぐ”力など、どんな道に進んでも、そこに“つなげられる”話をうかがえて、とても良い機会でした。
  • 「脚本家」という仕事は、自分たちにはあまり関わりのない仕事だと思っていたけど、ネタに気づき、想像力をはたらかせると私にでも脚本がかけると分かってすごく身近に感じた。ドラマや映画の話一つにとても多くの情報、考えをまとめ、視聴者に一番伝えたい主題を伝えることができる脚本家はすばらしい仕事だと思った。私も常日頃から想像力をふくらまして、日常をよりおもしろいものにしていきたい。